センター大学 国際文化学科4年 上京田ちえ莉 <3号 2022年1~2月>

1. はじめに

 1か月間のCentre Termが終わり、約1週間の休みを挟んで、2月から春学期が始まりました。残された留学生活をいかに充実させるかを考えながら。毎日を過ごしています。今回の留学報告では、Centre Termで履修した授業のこと、春学期に受けている授業について、秋学期と春学期で変化したことなどについて書いていきたいと思います。

2. Centre Term

 Centre Termは、Centre大学特有の3週間で1つの授業を受ける集中講義のようなものです。今年は、1月4日から26日までの期間でした。最初の2日間はコロナによって、学内すべての授業がオンラインで行われました。
 私は、「ENG237 The South in Literature, Music, Film」というアメリカ南部の歴史について、文学、映画、音楽といった文化的な側面から学ぶ授業を履修しました。文学や映画は、アメリカ南部の人々の生活を鮮明に描いていて、教科書に沿って歴史を学ぶよりも、現実味がありました。この授業は、午前と午後に分かれていて、午前中は前日に読んできた文学作品や聴いてきた音楽、観た映画などについてディスカッションをしました。午後は、各自でアメリカ南部にまつわる映画を観て、その感想をMoodle(YPUポータルのようなもの)に書き込みます。
 この授業は、もともと3日目以降は対面で行われる予定でしたが、履修者の中でコロナにかかった人が出たことや、教授自身もコロナの陽性反応を受けたため、全日程がオンラインになってしまいました。そのため、教授とのコミュニケーションがうまく取れなかったり、同じ授業を取っている人の中から友達を作ったりすることができませんでした。わからないことは、教授にメールで聞いたり、もともとお世話になっていたアメリカ人の友達に助けてもらったりしながら、授業を受けていました。授業では視覚情報(パワーポイントなど)がなかったため、教授の言っていることを、聞き取って理解しなければならない点が大変でした。
 この授業は、中間テストと期末テスト、期末レポートでの評価でした。中間テストも期末テストも、一問一答式の問題と、短いレポートを書くという構成でした。一問一答式のテストは、「え?そこが出るんだ?」という部分が出題されていたので難しかったです。テスト後に、同じ授業を受けていたアメリカ人の友達と話したところ、彼も「あんなところ勉強してないよ」と笑っていて、安心しました。期末レポートは、南部出身のアーティストを一人選んで、その人の曲を7曲選んで紹介するというものでした。私は、ジャズが好きなので、ルイ・アームストロングを選んで紹介しました。アメリカの大学では、自分の考えやそれを支える経験などをレポートに盛り込むことが求められます。ルイ・アームストロングの曲と自分の吹奏楽での経験を関連付けて書くのは、改めて自分と音楽との関わり方を見直す機会になり、面白かったです。


図1 Centre Term後の休日に友人とボードゲームをしました。

3. 春学期の授業について

私が春学期に履修している授業は以下の通りです。

SPA110-a Fundamentals-Ⅰ
THR133 Foundations of Drama & Theater-Ⅰ
EDU226 Technology and Education
MUS225 Diction for Singers
MUS191 Centre Symphony Orchestra

MonTueWedThuFri
8:00~9:00SPA110SPA110SPA110
8:30~9:30SPA110
9:40~11:10EDU226EDU226
12:40~13:40THR133MUS225THR133THR133
19:30~21:00MUS191MUS191
SPA110-a Fundamentals-Ⅰ
 スペイン語の基礎の授業です。県立大学在学中にスペイン語を履修したいと思っていたのですが、履修できなかったので、よいチャンスだと思って履修しました。初めて学ぶ言語を英語で学ぶので、苦労しています。授業中は、文法の講義もありますが、60分の授業中20分以上は会話しています。学習したことを頭で整理しながら使うので、大変ですが、周りの人に助けられながら頑張っています。

THR133  Foundations of Drama & Theater-Ⅰ
 演劇と舞台の歴史を学んだり、それぞれの時代に書かれた演劇作品を読んで、分析したりディスカッションしたりする授業です。授業は、演劇と舞台の歴史を学ぶ講義の日と読んできた演劇作品についてディスカッションする日にわかれています。ディスカッションでは、自分の考えた事を瞬時に英語にして、わかりやすく伝えることに苦労しています。演劇の始まりは、宗教的なお祭りで上演されていたものにあるので、背景知識としてキリスト教の知識が必要になることもあります。疑問に思ったことは、ディスカッションの時や授業の後に教授に聞いて理解を深めています。

EDU226 Technology and Education
 アメリカの教育現場で使われているテクノロジーについて学ぶ授業です。アメリカの教育現場では、パワーポイントやZoom以外にも様々なアプリケーションが使われています。まだ、授業が始まって1か月くらいですが、「ICTを授業で積極的に活用しよう」としている日本と、「ICTを授業で効果的に使うにはどうすればいいか」を考えているアメリカとの差に毎回驚かされます。3月末には、実際に近くの小学校に行って授業をするので、今は、その準備を少しずつ進めています。

MUS225 Diction for Singers
 直訳すると、「歌手のための発声法」という授業名なのですが、IPA(International Phonetic Alphabet/国際音声記号)をもとに、英語の発音を学んでいます。私は、もともと自分の発音に自信がなかったので、改善するためにこの授業を取りました。2月は、英語の母音をどうやって発音するか学びました。IPAと実際の音を結び付けて覚えることも大変ですが、日本語は英語よりも母音が少ないので、一つ一つの音を聞き分けることに苦労しています。この授業は履修者が3人しかいなくて、教授も気さくな方なので、リラックスして授業を受けることができています。

MUS191 Centre Symphony Orchestra
 オーケストラの授業です。4月の本番に向けて、合奏中心に練習しているので、授業というより部活に近い印象です。私は、中学、高校と吹奏楽部でパーカッション(打楽器)をしていたので、オーケストラでも引き続きパーカッションを担当しています。最初は、指揮の教授の指導がすべて英語だったら、指示を理解して求める音を作るのは、すごく難しいだろうと不安でした。しかし、教授が英語で指導しつつ、歌ってイメージを伝えてくれるので、問題なく合奏に参加できています。


図2 オーケストラの授業で使っている「Newlin Hall」。本番もこのホールで行われます。センター大学には、このホールと別に小さな劇場もあります。

4. 秋学期と春学期で変化したこと

 アメリカでの生活にも慣れてきて、授業の受け方や日常生活でいくつか変わった点があるので紹介します。
 一番大きな変化は、「ディスカッションで積極的に発言できるようになったこと」です。自分の伝えたいことを言葉にしてできるだけ正確に伝えることは難しいです。秋学期は自分の中で伝えたいことをまとめて文章にしてから話すようにしていました。そのため、発言したい内容を考えているうちに、次の話題に移ってしまっていることが多かったです。しかし、春学期は、自分の言いたいことが8割しかまとまっていないときでも、とりあえず言いたいことの要点が決まったら挙手するようにしています。アメリカの大学では、ディスカッションへの参加度も大切です。完璧な英語で話すことはできなくても、授業に参加して意見を交換することを目的に発言するようにしています。
 二つ目は、「教授とたくさん話すようになったこと」です。秋学期のはじめの方は、教授と話すのにも緊張してうまく話せないこともありました。アメリカに着いたばかりで、自分の英語にも自信がなかったし、アメリカでの教授と学生の距離感がつかめていなかったからです。Centre Termと春学期の最初の1週間はあまり課題もなかったので、自分が履修している授業の教授に、自己紹介と自分が日本からの留学生である事、電子辞書を授業中に使ってもいいかをメールで尋ねました。こうすることで、教授に自分の名前を覚えてもらえ、授業中も名前で呼んでもらえるので、同じ授業にいる他の学生にも名前を覚えてもらいやすくなりました。
 三つ目は、「定期的に一人になる時間を作るようにしたこと」です。私は、大人数でわいわいするのも嫌いではないですが、一人になる時間も必要なタイプなので、自分で一人になれる時間と場所が必要です。今学期は特に、スペイン語の授業を履修しているため、課題と予習で手いっぱいで平日にゆっくりする時間をあまり作ることができません。そこで、金曜日の午後に一人で過ごす時間を確保するようになりました。一人の時間が確保されていることが分かっているので、それ以外の時間で、友達と過ごす時間を大事にするようになりました。

5. ワクチンのブースター接種について

 センター大学では、1月にコロナウィルスワクチンのブースター接種が義務付けられました。それに伴い、Centre Term後の1週間の休みの間に、近くの薬局で3回目のワクチンを接種してきました。大学の集団接種で接種するか、近くの薬局などで接種するか迷ったのですが、大学の集団接種は火曜日しか行われていなかったため、近くの薬局で接種することを選びました。火曜日に接種すると、副反応で大学を休むことが懸念されたからです。センター大学で留学生の支援をしてくださっているJessicaに相談をして、予約の方法などを教えてもらいました。接種したい日の3日前くらいに薬局のサイトで予約をして、15分くらいで接種が完了しました。自分の体に関することなので、自分がどうしたいのかを把握して、自分の責任で選択することが大切だなと感じました。


図3 ワクチン証明書。薬局で接種した際に作ってもらいました。

6. 終わりに

 留学生活も残り3か月を切り、(この過ごし方で充実した留学生活を送れたと言えるのか?)と自問自答する日々です。秋学期よりも友達が増えたので、友人たちと立ち止まって話す時間を大切にするようにしています。センター大学でやり残したことがないように、残り2か月弱、一日一日を充実したものにできるよう、アクションを起こし続けたいです。


図4 1月7日に雪がたくさん降ったので、雪遊びをしました。人生で初めて、雪まみれになって遊んだいい思い出です。